2021-07-20

夏の花生け、ひと工夫

夏の花といえば、まず向日葵

今年も暑い夏がやってきました!

暑くなると、花を飾るのをためらうという方も多いかと思います。なぜならすぐにお花がだめになってしまうから。濁ったお水、うなだれた花を前に、ため息をついた経験はお花好きな方なら必ずあると思います。

でも暑い夏だからこそ、花のパワーを感じたいし、涼しげな色や緑を楽しみたい!という思いもあるはず。今回のコラムでは夏場の花生けのちょっとした工夫を考えてみたいと思います。

水替えのルーティン化

夏の花生けの最大の敵!といってもいい「水替え」。これが面倒だという方が圧倒的に多いです。菌の繁殖を抑える薬剤や銅のグッズなど、水替えの頻度を少なくするためのアイテムも様々に売られています。でも実は、期待したような効果が得られない、、というのが正直なところです。そこで、発想を転換して水替えを無理なく生活のリズムに取り込む工夫をしてみましょう!

オススメなのが、花を飾る場所を水回りに限定してしまうことです。キッチン、洗面所、etc.。ダイニングテーブルも日本の一般的な住宅ならキッチンに近く飾りやすい場所です。水道がすぐそこにあれば、水をかえる作業もそこまで億劫にはならないはず。また、あえて時間や回数を決めないのが続けるコツ。ご飯を作る時、お皿を洗うとき、手を洗うとき、歯を磨くとき、、。水回りは一日に何度も行く場所。水が濁ってしまう前に、そこへ行くたびにさっと水をかえるだけで、菌の繁殖もおさえられ、花器を洗剤で毎回洗わなくてもきれいな水を保てます(洗剤で洗うと、より清潔さを保てます。また茎を流水で洗うのも効果的です)。

片流れに生けるときれいに決まる

また、ばらついた場所に置くと水替えを忘れがち。花を飾るのはここ!と場所を決めると、ルーティン化しやすいかなあと思います。最初は一輪の花、一本のグリーンなど少量から始めて、慣れたらミニブーケ、と徐々に楽しみの幅を広げていくのがお勧め。一度、習慣化できたらしめたもの。濁った水に顔をしかめるストレスともさよならです!

生まれと、旬。

アンスリウムの原産地は熱帯アメリカ、グロリオサは熱帯アジア、アフリカ。

もう一つ、ぜひ意識していただきたいのがその植物の原産地です。熱帯の国で生まれた植物は、必然的に暑さに強く、日本の高温多湿の夏にも強いものが多いです。例えば、アンスリウムや蘭などが代表的です。また、オーストラリアやアフリカなどの植物も暑さに強いですが、乾燥した砂漠のような土地の植物は湿度に弱いため、多湿な日本では水を少なめにするなど注意が必要です。ワイルドフラワーと総称されることもあります。カンガルーポーやセルリア、プロテアなど、ドライフラワーにもしやすいため人気があります。反対に、例えばバラは小アジアやヨーロッパが原産地といわれており、高温多湿の日本の夏にはあまり適さないことが生育地からも読み取れます。

蘭とカンガールーポーのブーケ

また、旬のものを選ぶ事もとても大切です。ハウスで栽培された季節の異なる花はすぐに暑さにやられてしまいます。お花屋さんで花を買うときは、夏の庭でも元気に咲くような向日葵やエキナセアなどの夏の花を選んでみて下さい。思ったよりも長くもってくれて嬉しくなります。また、ハーブなどのグリーン類は比較的強く、見た目も香りもさわやかで夏場にお勧めです。

花は枯れるもの

いくらこまめに水をかえてお世話をしても、植物はいつか枯れてしまいます。それを嘆くのではなく、満開から散る様子、かさかさと乾いたりする変化も楽しむ心の余裕をもてたら、花あしらいの上級者の仲間入りです!クレマチスのように花の後にシードに変化するのを愉しめるものも。早めに水からあげてドライにするのも一つの方法です。真夏の車の中や南向きの部屋などに置くと、あっという間に乾きますよ!ドライフラワーも飾りっぱなしにせず、埃がかぶってしまう前に処分するのがスマートかなと思いますが、あえて朽ちていく姿を観察するのも意外に楽しいものです。

シードになる様子も楽しめるクレマチス

大切なことは、無理をしないという事。いろいろ試してみても、やっぱり水替えが大変という方もいると思います。小さなお子さんやペットがいると、花瓶をテーブルに置くこと自体が難しい、という事もありますよね。枯れる姿も、好き嫌いがあります。無理に「素敵!」と思うことはありません。

自分の性格や嗜好、生活に合った花あしらいを楽しんで頂きたい!というのが一番の願い。なので、夏は花を飾りません!という選択もありだと思います。

でもそんな方も、一度は夏の花飾りを試してみて欲しいなあと思うのです。夏の植物の生命力はとても強くてパワーをもらえますし、水替えのたびに触れる水の冷たさは心地よいものです。あ、意外に良いかも、私にもできるかも、と思ってもらえたら、とても嬉しいです。

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